診療所開業 ~ 診療科別開業成功のポイント ~

◆婦人科 編

婦人科の受療率は低く、広域からの集患が必要不可欠です。女性のみが対象となることから滞在患者数の予測数値は低く、保険診療だけでなく、乳がん検診、子宮がん検診、ピルなどの自費薬、アウスなどの自費診療を組み合わせることが一般的です。その比率、アウスの有無などによって立地戦略、広告戦略などが異なってきます。内診時の女性看護師の配置や、患者さんのナーバスな心理に対応できる接遇スキルも重要になってきます

≪ポイント≫
・保険診療と自費診療の割合をどう設定するかが事業計画のポイント
・がん検診などは保険診療の延長に位置づけられることから、保険診療での経営ベースを作ることが大切
・自費診療患者さんは基本的に健常者なので、オフィスワーカーなどに配慮した通院しやすい立地選定
や診療時間設定が望まれる

 

③職員配置・採用計画

婦人科の職員配置、採用計画については、医師が男性か女性かによって変わってきます。
内診台での診察ケースが多くなることから、男性医師だけだとセクハラを訴えられるリスクがあり、内診する際は女性看護師を常に配置する体制が必要になります。一般的には、看護師常時1~2名体制、受付常時2名体制とすることで運営上問題ありません。

 看護師採用は、どの診療科でも困難なことから、病院勤務中に、開業後に採用したい看護師の目途を立てておくことが検討手段の一つとなります。また、自費診療において自費薬(ピルなど)を積極的に取り扱う場合は、初診は医師が診察し、再診以降は看護師だけで対応することも想定されますので、こうした診療方針で診療所を運営していく場合は、来院患者数に応じた看護師の配置が求められることになります。また、私どもの開業支援事例のなかでも人工妊娠中絶手術を積極的に行う場合は、手術の立ち会いが精神的に受け入れられないと感じる看護師もいましたので、スタッフの入れ替わりが多く発生する可能性を念頭に置かなければなりません。

 受付スタッフは、常時2名体制を確保すれば、患者さん対応や電話応対は十分です。医療機関での勤務経験者を1人は確保したい場合は、病院勤務中に、医療事務能力や接遇能力に長けた人がいれば、開業後の採用を打診することも検討手段の一つです。

 また、経営戦略・立地選定の項でも触れましたが、オフィスワーカーの通院利便性を高めるために、夜間遅い時間まで診療時間とする場合は、当然ながら看護師や受付のスタッフにも終了時間まで勤務してもらわなければなりません。そのため、人材確保の方法として、給与を高めに設定したり、開業当初から社会保険を適用したりするなど、福利厚生を充実させないと運営に必要な人員の頭数が揃わないといったことも考えられます。

 そのほか、婦人科の場合、他人に知られたくないプライバシーや、非常にナーバスな状態にある方も多いことから特に接遇面での気配りが大切になります。接遇スキルに優れたスタッフの確保や育成が望まれます。

 

 

プロモーション戦略

婦人科は、広域からの集患が必要となりますので、プロモーション戦略はホームページでの情報提供やインターネット機能を最大限に活用した広告が必要となります。

(1)開業前のプロモーション
他の診療科と異なり、都市部の婦人科では開院前の内覧会を実施しないことが一般的です。患者さんが女性のみということは、市場規模が全人口の約半数であり、受療率自体も低いことから、ポスティングや折込みチラシなどの告知広告費に見合った集患が得られないことに合わせ、婦人科の受診を他者に知られたくないという心理的な抵抗感という考えによるものです。

(2)開業後のプロモーション
開業後については、自院ホームページでの情報配信が主なプロモーション活動となります。婦人科のターゲットとなる女性のなかでも比較的若い年齢層の方は、インターネットで自身の症状に的確に対応してくれそうな診療所を探す傾向があるため、インターネット検索で自院ホームページが上位に露出できるような対策が効果的です。私どもの開業支援事例においても、開院当初からインターネットの専門広告代理店に依頼して「Google」や「Yahoo」検索エンジンに対する「リスティング広告」を実施。来院につながると思われるキーワードを数百個設定し、そのキーワードで検索した方に自院のホームページを見てもらえる動線をネット上に作ることで、一定の成果を上げています。

最近では、先生自身がホームページの更新を簡単にできるシステムを特徴にした商品もあり、私どもが開業をご支援した先生のなかにも、定期的にブログを更新しておられる方がいらっしゃいます。
また、自院のホームページ管理画面をこまめにチェックされ、コンテンツ別の閲覧数の変化などから、掲載情報の深堀りなどコンテンツの充実を図っておられる先生もいらっしゃいますが、「Google」などでの検索順位を上位に押し上げることは、広報活動としてのホームページ運用の費用対効果を高める意味においてもとても有効な取り組みです。通り一遍の疾患説明だけではなく、ブログやコラムなどで院長の診療方針や診療内容を詳しく解説し安心感を与えることが、受診の動機づけにもつながります。

 

 

そのほか、自費診療を積極的に取り組む診療所の場合は、料金設定によって患者さんを集めることが可能となりますので、周辺の競合医療機関と比較して安い価格設定を行い、その価格設定が患者さんにとってすぐ理解できるようにホームページ上でわかりやすく表現されていることが重要となります。

また、患者さんの通院利便性に配慮し、診察時間予約で運用している診療所や、働く女性のライフスタイルに合わせた診療時間の設定で、多くの患者数を獲得している事例があることから、単なる広告・広報活動だけではなく、診療体制のあり方そのものを患者さん目線に合わせることも重要な戦略と考えられます。

 

 

~株式会社日本医業総研 発行 診療所開業 ここで差がつく診療科別開業成功のポイント より~

<過去のブログ>

消化器内科 ①経営戦略・立地選定   2023/6月更新分
消化器内科 ②事業計画        2023/7月更新分
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循環器内科 ①経営戦略・立地選定   2023/9月更新分
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婦人科   ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2026/8月更新分

 


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