診療所開業 ~ 診療科別開業成功のポイント ~

◆婦人科 編

婦人科の受療率は低く、広域からの集患が必要不可欠です。女性のみが対象となることから滞在患者数の予測数値は低く、保険診療だけでなく、乳がん検診、子宮がん検診、ピルなどの自費薬、アウスなどの自費診療を組み合わせることが一般的です。その比率、アウスの有無などによって立地戦略、広告戦略などが異なってきます。内診時の女性看護師の配置や、患者さんのナーバスな心理に対応できる接遇スキルも重要になってきます

≪ポイント≫
・保険診療と自費診療の割合をどう設定するかが事業計画のポイント
・がん検診などは保険診療の延長に位置づけられることから、保険診療での経営ベースを作ることが大切
・自費診療患者さんは基本的に健常者なので、オフィスワーカーなどに配慮した通院しやすい立地選定
や診療時間設定が望まれる

②事業計画

 婦人科の事業計画のポイントは、自費診療(乳がん検診、子宮がん検診、ピルなどの自費薬処方、人工妊娠中絶手術など)の割合をどう設定するかです。

自費診療の割合を高めに設定する場合は、競合診療所との差別化を念頭に、患者さんの利便性に配慮した立地戦略と広告戦略を予め立てておく必要があります。

私どもの開業支援事例から、開業後の経営支援を通じて、都心部で比較的自費に力を入れている診療所で、保険収入:自費収入=4:6、保険医療を中心とし、自費の割合を抑えた診療所で、保険収入:自費収入=8:2といった事例があります。先生の診療方針に従い、事業計画作成上の参考にしていただければと思います。

自費収入の割合については、自費診療の集客にどれだけ力を入れるかに影響しますが、保険診療のベースがないと自費収入も見込めませんので、保険収入をベースに試算する方法が良いと思われます。

診療圏調査の結果をもとに、保険外来患者数予測が立てられますので、婦人科の保険診療の平均診療単価約4,000円(血液検査やエコー検査の実施割合が高くなる場合は約7,000円)を掛け合わせると、月間の保険診療収入額を算出することができます。あとは、保険収入に対する自費収入割合をどの程度見込むかについて、複数のパターンで、収入計画を試算すると良いでしょう。ただし、人工妊娠中絶を行う場合は、診療単価が高額になりますので、別建てで収入計画を立てるようにします。医師1人の対応であっても、部門別(外来と手術)損益を適正に管理しなければ経営の健全化は図れないわけです。

グラフ

原価率(収入の増加とともに増える経費で、薬品材料や外注検査費がこれにあたります)に関しては、保険診療の場合はあまりかかりませんが、自費収入のなかのピルなどの自費薬に関しては、価格競争が激しくなっているので、収入計画に合わせて仕入原価率を別建てて計画しておくことが望まれます。

人件費計画については、人員配置を、受付は常時2名、看護師は常時1名、男性医師の場合は、看護師2名体制とすることで計画しておくとよいでしょう。男性医師の場合に看護師2名体制とするのは、患者さんの内診時に必ず女性の看護師を隣につけておかないとセクハラなどで訴えられる可能性があるためですので、上昇する人件費は少なくありませんが、診療所経営のリスクマネジメントとしては必要な経費ととらえるべきです。

経費内容については、経営戦略、立地選定で述べたように、受療率が低い診療科で広域から患者さんを集めないとならないことから、広告予算を多めに確保する必要があります。また、インターネット広告に力点を置く場合、広告予算の上限を設定し、その範囲内でメリハリの効いた配分を心がけてください。

 資金計画(開業時の貸借対照表を参照)に関しては、医療機器については、他の診療科目と比較すると大きな投資額を必要としませんが、内診室の数によって内診台の設置台数が変わり、必要となる照明や、エコーの設置台数も変わる場合があります。設計内容によって内装工事代だけではなく医療機器にも影響するので、適正な予算をきちんと把握して計上しておかないと資金調達計画の練り直しが必要となりますので注意が必要です。

運転資金をどれだけ確保するかという点については、地域ニーズに対して婦人科診療所が少ない場合や、自費収入に関する集患活動が奏功した場合は、比較的早期に事業が立ち上がるケースもありますが、マイナー科目で受療率も低く、広域から集患しなければならないことから来院患者予測が立てにくい診療科目でもあります。最低でも開業後1年間分の月次の収支計画を立てて、損益分岐点を超えるまで事業資金が枯渇しないように、慎重に開業準備を進めていただくことが重要です。

 

~株式会社日本医業総研 発行 診療所開業 ここで差がつく診療科別開業成功のポイント より~
★次回は 婦人科の職員配置 を掲載予定です

<過去のブログ>

消化器内科 ①経営戦略・立地選定   2023/6月更新分
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循環器内科 ①経営戦略・立地選定   2023/9月更新分
循環器内科 ②事業計画        2023/10月更新分
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心療内科  ①経営戦略・立地選定   2025/6月更新分
心療内科  ②事業計画        2025/7月更新分
心療内科  ③職員配置・採用計画 ④プロモーション戦略 2025/8月更新分
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婦人科   ①経営戦略・立地選定   2026/6月更新分

 

 


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