今回紹介するのは２００６年２月に開業して以来、着々と患者数を伸ばしている尾久駅前内科クリニックです。冨永誠一院長のリーダーシップに加え、院長の娘 婿で副院長の大久保誠二医師らのバックアップで家族一丸の体制を構築し、地域になくてはならない診療所に急成長を遂げています。
患者数は７倍に急増 事業継承の準備も着々と進む
■患者数が急増しているとお聞きします。その推移を教えてください。
冨永 開業初日は19人の患者様がいらっしゃいました。その後は１日10人前後で推移し、１年後は40人まで増え、２年目は多い日は80人近くに上ることもあります。２年間で約７倍に増えています。
■診療所の事業継承に向けた布石も着々と打っているそうですね。
冨永 日本医科大学付属病院勤務医の大久保誠二副院長が、毎週木曜日の診療を担当しています。今年３月から金曜日の診 療も始め、「二代目」として患者様の認知度も確実に上がってきています。開業前から当院を支援してくださっている日本医業総研さんのアドバイスもあり、昨年９月には医療法人格を取得しました。法人格を得たことで、経営の継続性の確保とともにスムーズな相続も可能になりました。
■冨永院長と大久保副院長による医師の２人体制はいかがですか？
冨永 開業したのが既に69歳の時で、休みなく診療を続けていては体力的にも精神的にも、もたなかったでしょう。大久 保副院長の存在があったからこそ、診療所の経営を続けることができたのです。また、私が循環器の専門医、大久保副院長は神経内科専門医で、専門の違う医師 がいることで、より幅広い疾患に対応することができます。当院は在宅療養支援診療所も届け出ており、２人の医師の体制で無理なく24時間対応を可能にして います。
大久保 大学病院の仕事もおもしろいので、すぐに辞めるつもりはありませんが、10年以内を目処に冨永院長の後を継ぎたいと考えています。大学病院に比べ、診療所は患者様のご家族の相談にも乗るなど、より幅広い能力が試されると思います。
ＨＰで患者の利便性向上 さらなる増患に向け努力
■ホームページの充実も目を引きますね。管理はどなたが担当しているのですか？
冨永 ＨＰの管理を担当しているのが私の長女です。花粉症やインフルエンザなど季節ごとに流行しやすい疾患情報を掲載 するなど、頻繁に更新してアクセス数を上げているほか、受付から診察、会計、薬の処方まで診療の流れをわかりやすく掲載しています。さらに、健康診断内容 を項目別に細かく提示して料金内容も掲載するなど、患者様の利便性向上に努めています。ＨＰをご覧になって来院する患者様も増えています。
■ご家族のバックアップも診療所の特徴ですね。
冨永 受付には週替わりで花を生け、花の名前を書いたカードも添えて患者様の評判も上々です。このアイデアは私の妻のものです。
大久保 私の妻は患者様のお名前と疾患をすべて覚えています。医師ではなかなか気がつかない患者様本位の視点で、診療所の経営改善に努力してくれているので助かります。
■院内は約30坪と広くはありませんが、設備が充実しています。
冨永 電子カルテを導入し、患者様を待たせない工夫を施しています。また、Ｘ線もデジタル処理で、撮影後すぐに診察室で画像データをお見せすることができます。画像はＣＤ－ＲＯＭでお渡しすることが可能で、連携する病院とのやり取りも容易です。
■日本医業総研のアドバイスはいかがですか？
冨永 開業前は診療所の効果的なＰＲ方法を教えていただきました。開業後も医療法人格取得のメリット、デメリットを細かく教えられるなど継続した支援をしていただき、大いに助かっています。また、その時に応じた目標を設定してくれるので、やりがいにつながっています。
■今後の目標を教えてください
冨永 開業前から開業後の３年間は懸命に頑張ろうと決意していました。幸い順調に患者様の信頼を得ることができて、ほっとしています。３年目を迎える今年は１日平均１００人の来院を目指しています。
冨永誠一先生 （写真 右）
ご経歴
1962年、日本医科大学卒業。67年、東京女子医科大学大学院修了後、東京女子医科大学心臓血圧研究所助手、北里大学医学部胸部外科教授、大内病院院長を経て、02年に相模台病院相模台健診クリニック所長に就任。
05年に退職し、06年２月に尾久駅前内科クリニック開業。
現在、北里大学医学部客員教授を歴任。
大久保誠二先生 （写真 左）
ご経歴
1995年に日本医科大学を卒業後、同大学第二内科（神経内科）入局。2004年、（財）東京都保健医療公社多摩北部医療センター神経内科医長に就任。06年、日本医科大学大学院を修了し、尾久駅前内科クリニック副院長に就任。07年から医療法人社団誠健会理事を務める
