
患者さん一人ひとりの訴えに傾聴する丁寧な対応
先生のご実家が、梅田で不妊治療を専門とする「越田クリニック」を運営されていますが、越田先生が婦人科に進まれたことにも影響していますか。
(越田先生)父から受けた影響は大きいと思います。私は一度、他大学を卒業してから大阪医科薬科大学を再受験したのですが、医学部を目指した段階から婦人科に進むことを決めていました。幼い頃から父が患者さんと向き合う姿を見て育ち、女性のライフステージに長く寄り添える診療科であることに魅力を感じていました。
これまで大学病院をはじめ、基幹病院で高度な医療に取り組んでこられたわけですが、そうしたなかでも、開業志向のようなものはあったのでしょうか。
医療を通じて地域の皆様のお役に立ちたいという思いは、勤務医時代からずっと持ち続けていました。前職の野江病院での勤務も長くなり、これまで診てきた患者さんが地域に多くいらっしゃることもあり、「より身近な立場で継続的に診療したい」という気持ちが強くなり、開業を決心しました。
放出エリアは元々開業場所として希望されていたのですか。
放出という場所にこだわっていたわけではありません。婦人科の競合が少ないことを前提に、野江病院のある城東エリアや、梅田周辺も候補として考えていました。地域のニーズがあり、自分の経験を活かせる場所を第一に考えていました。
放出駅前のこの物件について、診療圏調査の結果はいかがでしたか。
(山下明宏、日本医業総研担当コンサルタント)ご提案した物件は、半径1km圏内に婦人科の競合がなく、2kmまで広げても鶴見区にクリニックが1件、お産に対応する病院、クリニックが2件あるのみという状況でした。婦人科診療のニーズは十分に見込めるエリアであり、さらに越田先生は野江病院時代から地域で診療されていた実績と土地勘もお持ちでしたので、開業後の集患にも十分期待できると判断しました。

クリニックのウェブサイトに書かれている、「女性に一生に寄り添いながら病気になる前の気づきを大切にした予防医療」「ここに来ると、少し気持ちが軽くなる」に、先生の診療に対する考え方が表されていると感じます。実際に若年での生理の悩みから産前・産後の不調、そして更年期障害と、患者さんとは永きにわたるお付き合いになります。そのベースとなる信頼関係を構築するために、どのようなことに気を遣われていますか。
(越田先生)婦人科では、身体の症状がメンタル面に影響を及ぼすことも少なくありませんし、逆に精神的なストレスが身体症状として現れるケースもあります。そのため、まずは患者さん一人ひとりのお話にしっかり耳を傾け、安心して相談していただける雰囲気づくりを大切にしています。診察だけでなく、「話を聞いてもらえた」と感じていただけることも、婦人科医として重要な役割だと考えています。

それは、スタッフの皆さんにも同じことがいえそうですね。
そうですね。当院にはベテランの助産師や産後ケアに精通したスタッフが複数在籍しており、私一人では十分に対応しきれない部分も、同性だからこそできるきめ細かなフォローにつなげてもらっています。また、週1回は製薬会社の担当者にも来ていただき、薬剤に関する勉強会を実施しています。医師だけでなくスタッフ全員が最新の知識を共有し、患者さんへより質の高い医療を提供できる体制づくりを心掛けています。
クリニックに入ってすぐに感じるのが、空間設計から調度品にいたるまでのセンスと居心地の良さです。この空間は先生のこだわりですか。
設計者には、「女性のからだと心に寄り添える空間にしたい」という私の思いをお伝えしました。その考えをもとに、木材を中心としたナチュラルな素材感や落ち着いた色合いで、安心感のある内装に仕上げていただきました。ベランダの大きな植栽は駅からの視認性も意識していますが、外から見たときにもクリニックのやさしい雰囲気が伝わるよう工夫しています。来院された方に、診察前から少しでも緊張が和らぐ空間になればと思っています。

婦人科クリニックの新設に寄せられる地域からの期待
内覧会の様子はいかがでしたか。
開業直前の土日に実施しましたが、2日間合わせて200人程度の女性にお越しいただきました。クリニックの雰囲気を見ていただくだけでなく、地域の皆さんと直接お話しできる貴重な機会になったと思います。
女性だけですから、200人というのはかなりの盛況といえますね。
当院スタッフを始め、関係者の方々にもご協力いただき、地域の方々へ広く周知できたことが大きかったと思います。当日は想像以上の来場者数で慌ただしくはありましたが、「近くに婦人科ができて本当にうれしい」「これまで遠方まで通っていたので助かる」といったお声を直接いただきました。実際に、その後受診につながった方も複数いらっしゃり、地域ニーズの高さを実感しました。

開業から2カ月目で、まだ経営数値を評価する段階ではありませんが、立ち上がりの来院患者数は良好で、事業計画を上回っているようです。患者さんの年齢層や疾患、相談内容は先生が想定されたとおりでしょうか。
全体として想定を上回っていますが、思っていた以上に産科の患者さんが多いですね。妊娠検査薬で陽性となり、妊娠の確定診断や初期診療を希望される方が毎日のように来院されています。実際に診療を始めてみると、これから妊娠・出産を迎える世代が多く暮らしている地域であることを改めて実感しています。一方で、月経困難症や更年期症状など、幅広いライフステージの相談も徐々に増えてきています。
比較的若い女性となると、来院のきっかけはやはりウェブ検索でしょうか。
おそらくウェブ検索が入口になっている方が多いと思います。ただ、それ以上に駅前というアクセスの良さは大きいですね。毎日の通勤や買い物の際にクリニックを目にしていただけるので、「何かあれば相談してみよう」と認知していただきやすい立地だと感じています。婦人科は受診への心理的ハードルが高い診療科でもありますので、入りやすい雰囲気や立地の良さも受診行動につながっているのではないでしょうか。
今回の開業は、株式会社日本医業総研の山下明宏がサポートを担当させていただきましたが、コンサル内容は先生のご期待に沿うものでしたか。
山下さんとは比較的長いお付き合いになりましたが、最初の面談から忖度なく率直な意見を伝えてくださったことが印象に残っています。「良いことだけを言わない」という姿勢に信頼感を持ちました。開業準備が始まってからも、質問や要望への対応が非常に迅速でしたし、診療圏調査や投資バランスについても、その都度客観的な視点でアドバイスをいただきました。開業準備では判断に迷う場面も少なくありませんでしたが、適切なタイミングで背中を押していただき、安心して準備を進めることができました。無事に開業を迎えられたのは、山下さんをはじめ多くの方々の支えがあったからだと感じています。

院長プロフィール
院長:越田裕一郎 先生
日本産婦人科学会 産婦人科専門医
大阪医科薬科大学医学部医学科 卒業
京都大学附属病院 産婦人科
国立病院機構 大阪医療センター
済生会野江病院
Clinic Data
はなてん女性クリニック
主診療科目:産科
診療科目: 産科・婦人科
エリア:近畿
都道府県:大阪府
開業形態:新規開業
開業年月:20260511
〒538-0044 大阪府大阪市鶴見区放出東3-22-24 ヴェルデ放出駅前2階
TEL: 06-6185-1192





