30年間以上守り続けた地域整形外科医療。親子間継承を前提に場所を移転し機能を拡大。既存患者に加え、毎月10%超の新患率を維持。

河野整形外科

前院長 河野柳一 先生

院長 河野亮平 先生

大学卒業後、整形外科に入局されたのは、将来家業のクリニックを継承するという前提があったのでしょうか。

まったくなかったというわけではありませんが、臨床実習で手術などを見て回り、治療の成果が明確に出せることにやりがいを感じました。整形外科に進むことに迷いはありませんでした。

先生ご自身が学生時代からスポーツを楽しんでこられ、多くのケガも経験されてきました。頚椎症や前十字靭帯断裂による手術・リハビリなどの体験から、患者さんの痛みの程度や不安などもよくわかるのではないですか。

痛みには言葉にできない辛さや症状がたくさんありますから、そこは理解してあげられますし、正しい診断と適切な治療に結びつけられていると思います。

事業継承に際し、高度な手術ができなくなることの寂しさもあったのではないかと思います。逆に、病院にはないクリニックならではの医療提供についてどのようにお考えですか。

継承は既定路線ともいえますが、場所の移転に伴う運動器リハの充実とエコーの導入などもありました。レントゲンでは判断できなかったことも、検査したその場でしっかりと説明ができています。

院長就任までの約3年間、前院長(現名誉院長)と一緒に診察されてきたなかで、勤務されてきた大学や中核病院とは異なるクリニックならではの気づきはありましたか。

昔から診てきた患者さんが多いだけに、父は個々の既往歴を把握したうえで治療を選び、説明しますので、患者さんの納得度も高いように感じられます。経過のわからない私だと、どうしても現時点の状態を評価しますので、間違いではなくても話の内容がかなり違うなと感じていました。

前院長が提供されてきた医療と、先生が大学で学ばれた最新の知見にギャップのようなものはありませんでしたか。

やはり、そこはありますね。ただ、病院で提供する医療は手術という治療の選択が前提にあります。そこで最良の治療方法を提案するわけですが、クリニックの場合、手術しなければ根治は難しいとわかってはいても、保存療法でなんとかして欲しいという患者さんが数多く通院されています。そこで提供できる医療を考えたとき、それまでの物理療法に加えた運動器リハビリ機能の必要性が感じられました。高齢者の多い地域でもあるので、DEXA法による骨密度測定装置の導入やエコーを用いながらの注射なども同様です。

「痛み」へのアプローチでは、ブロック注射が大きな武器になっていますか。

とりあえず、痛みを何とかしてほしいという患者さんが結構いらっしゃいます。理学療法はPTに任せるわけですので、医師のできることは薬か注射ということになります。ただ、整形外科はペインクリニックと違い対症療法の先に手術もありうることも予測しています。ですから、ブロック注射を打っても痛みが再発すること、いずれ手術が必要になる可能性があること、その場合、注射での治療も適切なところで修正が必要であることも説明しています。

患者さんのアドヒアランスを高め、ご自身の意思で治療を選ぶことの促しはどのように取り組んでおられますか。

昔のように、医師が高圧的に治療方針を決め、あとはもう手術しかないよ、という時代ではありません。インフォームドコンセントをしたうえで患者さんの希望を聞き、治療の選択肢を示して話し合うことが基本ですが、実際は、言うとおりに従うから先生に決めてほしいという方が大勢です。患者さんに決めていただくのは簡単ではありませんが、わかりやすい言葉で正しい情報をお伝えし、選択肢を示したうえで、この方法がいいのではないかとアドバイスすることに心掛けています。

整形外科で運動器リハを充実させると、患者増に比例してPTなどのスタッフも増員しなければ運営が回りません。医療機関では、スタッフ一人ひとりが経営資源といえますが、先生がクリニックで新たにスタッフを採用された際の適性の基準はありますか。

まず事前に当院のホームページを見ていただき、経営理念をしっかりと読み込んでいるかを確認します。そこに共感がなければ仕事は続きません。当院は父の開業から40年以上地域に密着し、患者さんに寄り添ってきました。私が受け継いだ信用・信頼はそこにありますし、これからも変わらず継続していくことですので、常に患者さん目線での対応に心掛けていただくことが第一。あとはもちろん技術も必要です。整形外科が未経験でも、意欲のある人にはちゃんと覚えていただくように教化したいと思っていますし、むしろさまざまな医療者が集まることで新たなサービスの視点に気づける部分もあるのではないかと思っています。

整形外科は、クリニックのなかでも多職種での連携が重視される診療科ですが、院内の情報を共有し、チームパフォーマンスを高めるためにどのようなことを実践されていますか。

基本的に1対1の個別面談で現場の状況を聞き取っています。以前は月に1回実施できていたのですが、常勤・非常勤合わせて20人のスタッフを数える現在は、2~3カ月に1回でしょうか。それでも入職後、日の浅いスタッフに関しては頻度を上げるように意識しています。もちろん、1対1では解決しない問題も出てきますから、受付、看護師、PTといった職種内でのグループワークを開くほか、必要と感じられれば全員でのミーティングも行っています。皆、内心面倒くさいと思っているかもしれませんが、私が普段見ることのできない現場の問題だけに、私一人が結論を出すのではなく、多くの意見を聞かせていただくことが大事です。聞いた意見のすべてがかなうわけではありませんが、聞かないことにはなにも始まりません。

スタッフに対する患者さんの評判はいかがですか。

昨年実施した接遇研修の効果などもあってか、患者さんからお褒めの言葉をいただく機会が増えてきていると感じます。ただ、ネットの口コミでは反対の意見もみられます。100%の満足を得るのは、なかなか難しいと感じています。

改めて、河野先生の考える地域医療、目指すかかりつけ医像についてお聞かせください。

何よりも不調時の最初のアクセス先ということですね。最近の整形外科は専門性が高すぎてしまって、実際に私も何でも診られるというわけではありません。だた、それでも来ていただければ整形外科領域のことはここで継続的に受けていただけますし、専門外のことは他科や病院を含め適切な医療機関に紹介を出すということです。その的確な判断も、かかりつけ医の役割だと思っています。

ところで、今回の親子間事業継承に際し、弊社日本医業総研のことは何でお知りになりましたか。

もう7~8年前になるでしょうか? 確かインターネットでコンサルティング会社を調べて、実際に何社か面談しました。父が開いたクリニックに多くの患者さんが定着しているので、通院の負担にならない近くに移転したいという希望を伝えたところ、コンサルの多くからこのエリアに限定されたのでは無理、と断られたのですが、日本医業総研だけは、可能性を諦めずにやれるところまで探してみましょうと言っていただきました。この人にサポートをお願いしたいと思いましたし、実際に依頼して正解でした。物件探しだけでなく、スタッフの採用や継承にかかわる煩雑な手続きなどでも私の手間が大きく軽減されました。

Profile

院長 河野亮平先生
医学博士
日本整形外科学会 指定専門医
認定スポーツ医
認定運動器リハビリテーション医
ロコモアドバイスドクター
2000年 東京医科大学 卒業、東京医科大学病院整形外科 入局、大島医療センター、東京医科大学茨城医療センター、都立大塚病院、明理会中央病院等に勤務
2017年 河野整形外科 副院長就任
2020年 河野整形外科 院長就任

Clinic Data

Consulting reportコンサルティング担当者より

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