さかうえクリニックは、阪神西宮駅からほど近い、国道2号線沿いに面したビルの1Fで、この11月1日にオープンしたばかり。診療所としては稀なペインクリニック科、リハビリテーション科、麻酔科を標榜する。
■小さい頃、どんな少年時代を過ごされました?
田舎は兵庫県の川西市。周囲は自然たっぷりの環境で、物心がついたら虫や魚に囲まれていて遊んでました。何となく自然科学を学び興味が持てる環境にあったんですね。
■それで医学部に。
ええ。それと我々の世代までは手塚治虫の影響を強く受けている若者が多く、私もブラックジャックなどは何度も読み返しました。しかし、医学部を選択した直接的なきっかけは、姉の死でした。私が高校1年のときでした。仲の良かった姉が喘息が原因で亡くなった。まだ高校3年生、早すぎる死でした。
先輩が教えてくれたペインクリニックの面白さ
■麻酔科を選択されたのは。
外科医を目指し外科医局を覗きに行ったりしていましたが、卒業前にたまたま冷やかしで参加した麻酔科の医局説明会で、ストレスや痛みから身体を守る麻酔科医の業務に興味を持ちました。
■ペインもその流れで。
ペインクリニックへ舵を取るきっかけは、私のメンターが取り組んでいたこと、そして、私自身が大学院で「痛みのメカニズム」を研究テーマにしたことです。痛みは曖昧で個人的な体験ですが、それだからこそ個別のオーダーメードの治療が奏功する事への喜びがありました。
医院経営塾の第一規生
■開業を考えるようになったのはいつ頃でしょうか。
ぼんやりとですが7~8年くらい前からでしょうか。病院勤務医としてペインクリニックに 取り組んでましたが、患者さんに負担が大きい入院から、外来でもやれることは色々ある、そして診療所でも痛みのプロとしてできることも沢山あるんじゃないかと考えるようになったんですね。
■開業準備はごく短期でなされた!?
いえ、先月の開業まで約2年ですか。随分と長い助走でした(笑)。
■医業総研とはどんな出会いでしたか。
知り合いの税理士さんからの紹介です。開業を考えるのであれば、専門の良いところがあると伺って。
■印象は如何でしたか。
良かったです。担当の山下さんのイメージも良かった。診療圏調査など、やはり専門家に任せたほうが良いことが沢山あると認識はしていましたから。開業をサポートする色んな業者さんがいますが、私は専業のコンサル会社が良いと思っていましたし、迷いはありませんでした。そもそも私は医業総研が開催している「医院経営塾」の第一期生なんです。開業とはどんなことか、何をどう考えて、どんな準備、手を打っておくのか。4回の講座で考えるべきことをクリアにして貰いました。
職員のベクトルを合わせる
■今の課題は。
まずは一日でも早く損益分岐点をクリアすること。そのためにもスタートしたばかりのチーム(7名のスタッフ)のまとめ。私を筆頭に、チームのベクトルを一つにまとめ、キチンとした方向性を持たせることが目前の課題です。
■ご家族は開業に賛成でしたか。
ええ。もちろん苦労は掛けているのでしょうが、気持ちよく仕事に送り出してくれますし、支えて貰っています。ただ、子供(長女)が、「パパ、今日の患者さんは何人?」と聞いてくる。嬉しいのと、お尻を叩かれているような(笑)。
■最後に開業を考える後輩諸氏にアドバイスお願いします。
何にも増して、開業の理念を明確にすること。これも医院経営塾で教わったんですが。自分自身の推進力にもなるし、スタッフとも共有し、経営の支えになります。開業後、本当に実感していることです。