横浜市保土ヶ谷区、旧東海道保土ヶ谷宿の遺構を史跡に現し、緑豊かな町並みが特徴的なエリアだ。
いきいき杉山クリニックは、横浜駅から相鉄本線で3駅の天王町より徒歩約8分、隣の星川駅とのほぼ中間地点に位置するテナントビルの1階に開業した。駅前立地ではないものの、背景に林立する団地と近代的なマンション群を抱く商店街に面し、近隣の大型スーパーとともに地域の生活動線の要といえる優位な立地を得ての開業だ。
■開業はいつ頃から意識されていたのですか。
7~8年前から、ゆくゆくは開業をと考えていました。医師の将来像として、病院勤務医として最上位のポストを目指すか、自分のクリニックで納得のいく医療を実現するのかを考えたとき、後者のほうがしっくりときました。
■勤務医のころからあたためておられた開業医像は。
勤務医時代に多くの紹介患者さんを診るなかで、クリニックと患者さんとのコミュニケーションがとれていないなという印象を持っていました。これではクリニックの本来的な機能を満たしません。地域医療の窓口である内科医として、患者さんが気軽に相談に来られ、顔の見えるコミュニケーションを大切にしたい。同時に、慢性期医療が中心になると、通院期間が長期にわたりますので、来院される度に、何か悩みが一つ減る、気分が切り替わる、そんな明るさを持って患者さんを受け入れるクリニックでありたいと考えました。クリニック名に「いきいき」を冠したのも、その思いを込めてのものです。
決め手は、的確な事業計画とスピード、開業後のフォロー
■開業コンサルには、どのようなイメージをお持ちでしたか。
コンサル会社に依頼しようとは思っていたのですが、正直なところ懐疑的だったのも事実です。開業までは親身になってくれるが、開業後のフォローがまったく無い、とも先輩開業医から聞いていたので、不安が先にありました。そんな中、セミナーで医業総研を知り話をしてみたら、担当の小畑さんを始めスタッフの方に、誠実な印象を持ちました。開業後も事業が軌道に乗るまでフォローしていただけるということにも勇気付けられましたし、私の要望や質問に対するレスポンスの良さにも信頼をおきました。そのスピード感に乗るように、一気に開業へ進むことができました。医業総研と出会っていなければ、まだ悶々と悩みながら勤務医を続けていたかもしれませんね。
■医業総研のサポートは納得のいくものでしたか。
事業計画を策定する過程では、非常にシビアな数字を提示されました。「いくらなんでももっと患者さんは来るだろう」と少し憤慨しましたが(笑)。いざ開業してみると、なるほど事業計画通りに数字が推移し、損益分岐点をクリアしました。自己資金も少なかったので、厳しいことは覚悟のうえでしたが、それでも健全な経営が成り立つように、コスト管理も含めた計画がなされているのです。他に準備中に細かく指摘されたことも、開業後に実感する場面がいくつもありました。これが開業の実績数と蓄積データに裏付けられたサポートなのだと実感しました。
■開業から約1年半。地域での認知度も高まりましたね。
一つには、循環器内科を標榜するクリニックが近隣になかったことが大きな要因ですね。マーケティングの裏づけもあって、この立地を選んだわけですが、診療方針についても、ホームページを見て来院され、その後も通院される患者さんが多いという意味では、コンセプトは理解されていると思います。
■今後の課題は。
スタッフのフォローアップにもっと時間を持ちたいですね。開業前の研修では、コンセプトを徹底的に説明しましたので、十分浸透はしているのですが、さらに深化させるためにスタッフからの提案も積極的に取り入れていきたいと考えます。院長とスタッフがお互いに作り上げることが、帰属意識や連帯感を醸成するのではないでしょうか。
■これから開業される医師にアドバイスをお願いします。
勤務医の繁劇が苦痛で開業をするなど安易な考えはもっての外です。開業は決して甘いものではありません。医療と経営のすべての責任を院長自身が負うわけですから。まずこういう開業医でありたいという具体的なコンセプトやイメージを描き、何度も反芻し志にまで高めることが大切です。コンサルタントは、その志を事業計画に置き換え具現化するプロです。信頼できる人と二人三脚で、取り組んで行くことをお勧めします。