渋谷から東急田園都市線急行で19分、「たまプラーザ」は、昔日の丘陵の優美さから名づけられた美しが丘の町名を映し、桜や花見月の街路樹が織り成す美しい街並みが印象的な地域。大型のショッピングセンターの他、各種専門店、評判のグルメスポットなど商業施設も充実し、若々しい活気に溢れた、沿線でも特に人気の高いエリアだ。『美しが丘メンタルクリニック』は平成17年、駅から徒歩3分の好立地を得て開業した。
■まず、開業を決書されたきっかけからお聞かせください。
大学を卒業後、岐阜の病院に約10年間勤務し、その間に、ビジネススクールでMBAの内容を学びました。その後タイ王国のバンコク病院に勤務しました。医療コーディネーターとして海外駐在員に接し、医療相談をしながら、マーケティングも勉強しました。その成果を本来は勤務医として発揮したかったのですが、現実的にはトップに立たない限り、大きな病院組織の中ではうまく活かすことができません。だったら、開業して自分のスタイルで納得のいく医療と経営を実現したいと思いました。
■開業に際し特にこだわったコンセプトは。
企業のオーナーや経営幹部が多く住む地域特性から、アッパー層に向けて、空間環境的なアプローチにもこだわった医療の提供をしたいと考えました。日本の保険医療制度の中では困難ですが、高くても良質で高度な医療サービスを、という海外に倣った意識も根底にはあります。同時に、英語とタイ語のコミュニケーションカを活かして、外国人の患者さんも積極的に受け入れたいと考えました。
■そのコンセプトは開業後も貫かれていますか。
患者さんの幅はもちろん広いのですが、ほぼ想定した層がコアを形成しています。横浜のクリニックでは稀ですが予約料をいただいておりますので、患者さんの立場からは多少限定感があるのかもしれません。あとは、ホームページを見て来院なさる外国人の患者さんが多いですね。国の数では20カ国位でしょうか。遠方では新潟から通院される英国人の患者さんもいます。タイや米国などの異文化の中での医療を通した人との交流は勉強になりましたし、サービスに十分活かされていると思います。
■自分でできることは自分自身で手掛ける
開業を実現するうえで、医業総研のサポートは納得のいくものでしたか。 コンサルティングを依頼する際の希望は、自分がこだわり、できることは自分自身でやり、煩雑な手続きなど不得手な部分は全面的にお任せしたい、というものでした。立地の選定、クリニックの設計や演出、スタッフの人選、ホームページの作成等は、私自身で納得いくまで手掛けたかったのです。しかし、他のコンサル会社は開業に関わるすべてを任せることが条件と言われ、不透明で懐疑的なイメージがありました。医業総研は勤務医時代に取引のあった会社の紹介だったのですが、医師の自由度が高く、透明性もあり信頼のおけるものでした。明確な役割分担の中で、気持ちよく開業に向かうことができました。
■医療施設を感じさせない、素晴らしい空間ですね。
待ち時間も心身のリラックスに変えるクリニックでありたいという思いから、リゾート&スパを意識しました。開業前に設計士が同行したのも含め5回ほどタイに出向いて、リゾート&スパのホスピタリティを体感し、家具や調度品なども現地で直接買い付けました。アロマ効果の高いエッセンシャルオイルやヒーリング系のBGM、スタッフの接遇もコンセプトに適ったものです。
■開業から約5年が経ちました。今後目指される方向は。
企業経営者の多くが孤独な環境で日々様々なストレスを抱えています。それを癒すのは僧侶か占い師か、はたまた銀座のママか!?(笑)。しかし悩みに対して直接的な結論を出すのが医療ではありません。患者さんのメンタリティを整え、本来のポテンシャルを発揮できる方向に導くことが大切と考えます。可能であれば、自由診療で夜間など時間的な制約を意識せずに、じっくりと患者さんの声に耳を傾けた医療サービスを実現したい。さらには、会社経営に関わる具体的な相談にも応じられる、ある意味のプライベートな経営参謀でもありたいと思います。