兵庫県高砂市で唯一のペインクリニックとして、「かとうクリニック」は、同市のショッピングセンター内に2005年12月にオープンしました。
“落下傘” 開業ながらも立地を活かした広報戦略で好調なスタートを切り、開業から3年目を迎え、患者数は当初の約6倍に増加。加藤康之院長が掲げる”一人ひとりを大 切にする”診療スタイルは、地域での信頼を着実に獲得しています。
かとうクリニック外観
徹底した立地へのこだわりが成功のカギを握る
■開業3年目ですが、これまでを振り返っていかがでしたか?
加藤 開業前に徹底して立地にこだわったのは正解でした。高砂市内にペインクリニックを標榜する診療所がほかになかっ たため、
開業当初から当院を頼りに来られる慢性疼痛の患者さんは想像以上に多かったのです。
「遠方まで治療に通っていたのが楽になった」と、患者さんから 感謝されるたびに、開業してよかったと感じます。
患者数は一日平均120人超と、開業時の約6倍に増え、経営の心配をする必要もなくなりました。
■開業を成功させるには「立地」が重要ということですね。
加藤 開業医の先輩方の体験談を聞いて自分なりに戦略を立てた結果、
立地の選択は診療所の経営を軌道に乗せるうえで欠 かせない要素でした。
重視したのは交通の便と、近隣に競合のペインクリニックがないこと。
また整形外科、リハビリテーション科も標榜していますので、そう した診療の特性を考えれば駐車場の確保も不可欠でした。
■ショッピングセンター内の立地は条件的に合っていたと?
加藤 当院が入居しているショッピングセンターは、地域の中核を担う商業施設で、
若者から高齢者まで幅広い世代が訪れるのが魅力です。
JR宝殿駅からも近く、まさに私が求めていた立地条件に合っていました。
ベストを尽くしてくれた日本医業総研さんには大変感謝しています。
■成功には、信頼できる経営コンサルタントの存在が欠かせないということでしょうか?
加藤 開業は医師一人の力で成し得るものではありません。
医師は診療のエキスパートであっても、経営に関しては素人で す。
納得のいく開業を実現するためには、親身になって何でも相談にのってくれるパートナーの存在が不可欠ですね。
日本医業総研さんは、お会いした時から私 の立地へのこだわりをよく理解し、条件に合う用地を粘り強く探してくれました。
開業後もまめに連絡をくれますので、困ったときには気兼ねなく相談できま す。
求人広告の手配など現在も多方面で診療所の経営をサポートしていただいています。
患者数の増加にあわせて職員数も2倍に
■職員数も開業当初より増えたそうですね。経営者としてのご苦労はどんなところに?
加藤 患者数が増えるにつれて少しずつ増員を行った結果、3年前に比べて職員は約2倍に増えました。
当院は医師のほか柔道整復師、リハビリ 助手、看護師、受付などさまざまな職種が連携する職場です。
全員が気持ちよく働けるように経営者として職場環境の改善に気を配っています。
勤務医時代と比 較すると、人事や労務など診療以外の仕事がずいぶんと増えました。
診療以外の仕事をすべて肩代わりしてくれる事務長の必要性を強く意識する時もあります。
加藤先生(右)とコンサルタントの山下(左)
■診察時に特に気を配られてい る点は?
加藤 誠心誠意、一人ひとりの患者さんに接することです。
痛みを訴える患者さんのなかには、話をきちんと聞いてほしいという方が多くいらっ しゃいます。
時間をかけて患者さんの苦痛や不安に寄り添い、傾聴する姿勢を示すように心がけています。診療にも気を使っています。
たとえばブロック注射を する際には、患者さんの負担にならないように一回で済むように努めています。
これは患者数が増えたとしても、守られるべき診療の基本です。
今後も患者さん との信頼関係を大切に、地域医療に貢献していきたいと思います。
加藤康之(かとうやすゆき)先生
かとうクリニックの歩み
●2005年12月
かとうクリニック開業 開業当初の患者数は一日平均20人。
慢性疼痛の患者は思いのほか多く、開業1カ月後には50人が来院した
●2007年1月
患者数の増加に伴い、柔道整復師の増員を行う。メドマーなど医療機器も患者の要望で追加
●2008年7月
一日平均患者数が120人に増加。職員数も開業時の約2倍に増え、今後は管理部門を統括する人材の登用も検討