■医院経営塾に参加された感想はいかがでしたか。
私なりに開業関連本を調べるなどの勉強はしていましたが、開業実績のある日本医業総研の主催セミナーであれば、別の視点から得るものも大きいだろうと考えて参加しました。一方的な講義形式だと、なかなか頭に入り難いのですが、ワークショップで自ら手を動かすことで色々な課題が整理されました。
■奥様もご一緒に参加されたのですね。
医療機関での勤務経験のない妻も全講座に参加しました。経営といっても、個人事業ですから夫婦二人三脚で運営することになるだろうと考えました。少なくとも、医業のアウトライン程度は妻にも理解して欲しかったのが理由です。
■もっとも印象的な講座は何でしたか。
第1講の経営戦略講座でしょうか。事業コンセプトマップを作成するわけですが、経営理念は頭の中ではおぼろげに描いていたものの、キチンと書きだすことで再認識することができました。実際、パートを含め多くのスタッフを雇用すれば、人間関係上のトラブルだって発生します。そういった場合でも、理念が浸透しスタッフ全員が進むべきベクトルを共有していれば解決の糸口も容易に見つかります。私たちのミッションは患者さんの脳と神経を守ることなんですから。
■その他で役立った講座は?
人事・労務です。勤務医時代はまったく意識していなかった労働基準法などの知識は経営者として必須です。また、採用や研修は医業総研に全面的にバックアップしてもらいましたが、講座では多くの具体例が紹介され理解が深まりました。縁故採用は一切しないと決めていましたので、応募者の履歴書から人物像をどう読み取るか、面接時のポイント、労働条件の確認等は実践的でしたし、実際に優秀なスタッフを確保することができました。開業から1年以上経ちますが、初期メンバーの入れ替えはありません。
■開業時からMRIを導入されましたが、事業計画では採算面で十分な勝算があったのでしょうか。
確かに多額な初期投資ですし、必ずしも机上の計算通りに進むとは思っていませんでしたが、田中さんのアドバイスを受けて展開の方向が定まりました。芦屋は落下傘開業というハンデがありましたが、西宮から東灘にかけて脳外科クリニックの空白区だったこともあって必ずニーズがあると確信しました。そこで、駅から徒歩5分の、住宅街の入り口に位置するこの物件に医業総研が着目して、開業に踏み切りました。MRIの稼動も当初計画を上回っています。
■勤務医から経営者に転じて、大きく違いを感じられたところは?
勤務医時代もハードワークでしたが、開業医は忙しさの質が全く異なります。スタッフに対する雇用責任や資金繰りなどは経営者の当然の責務ですし、一方で診療時間中は院長として100%患者さんに目を向け、心地よい外来に心がけなければなりません。人任せにできないだけに責任の重さを実感します。
■医院経営塾にさらに加えるべき講義はありますか。
開業前セミナーとしては、十分に網羅されていると思います。充実させるとしたら、むしろ開業後セミナーですね。レセプトなどは、実際に診療を開始してからレクチャーを受けたほうが実践的に身につくと思われます。
■これから開業を目指す勤務医に、準備中のアドバイスをお願いします。
開業準備期間にもよるのでしょうが、自身に合った開業セミナーを選んで積極的に参加するべきです。これは単に経営に関する知識を得るだけでなく、準備期間中に開業の意志やモチベーションを維持することが大切だからです。その際は、夫婦円満のためにも(笑)是非奥様と一緒に参加されることをお勧めします。