今回の「先達の開業インタビュー」は、平成17年10月3日に泉北高速線泉ヶ丘駅前の高島屋をキーテナントとしている商業施設パンジョ内にオープンした医療モール「パンジョメディカルセンター」内でご開業されました「大槻レディ-スクリニック」大槻芳朗院長にお話をお聞きしました。
■大阪警察病院を辞められて、診療所を開業しようと決心されたきっかけからお話し下 さい。
私たちのような年齢になると、病院でもかなり責任の重い立場になりますし、第一線の臨床医の仕事を減らすことなくフルに務めながら、病院全体の管理・運営 に関わる仕事も増えることで、両立が非常にハードになってきます。ずっと大病院で仕事をしてきた勤務医は、50歳代半ばになると、たいてい“自分が果たし て、いつまで現在の仕事を継続できるのか?”という疑問にぶち当たると思うのです。医師数に余裕があれば臨床の重要部分のみに関与し、雑用は他のドクター に回して全体の負担を減らせますが、現在のような産婦人科医不足の中では許されません。
私も専門医として、積み重ねてきた知識・経験を生かす新しい場はないのだろうかと考える中で、開業コンサルティング会社として定評のある日本医業総研さ んからお話しを頂いたのです。日本医業総研さんが私の求めていた開業ニーズを十分に理解して下さり、最良のアドバイスをして下さった。医療モールの提案を 頂いた時に、私も“即決心”という訳でもなく、まだ迷っていたのですが、この場所に近い「大阪府立母子センター」で勤めていた経験もあり、土地勘もありま したので、ここで開業しようとの気持ちが湧いてきました。 立地的にも駅から比較的近く、競合する医療機関が少なかったのも好条件でした。
■駅前で、どちらかというと都市型のクリニックだと思いますが、“幅広い女性の疾患に対応できるレディスクリニック”というコンセプトで開業されたのですね。
“女性全般の健康管理”に主眼を置くクリニックにしたいと考えたのです。標榜科目は産婦人科だけですが、広い意味での「女性専門」ということで、思春期から妊娠、出産、更年期、老年期まで、多様な女性患者の健康上の悩みに対応可能な診療所を目指しました。
もちろん出産・分娩等の施設はありませんので、出産・手術・大きな検査等は、高機能病院との緊密な連携により、お願いできる体制を取っています。
■特に最近、関心の高いアンチエイジングにも対応されているようですが。
更年期障害・老化はQOLに大きな影響を与えます。女性を診ていく上で、アンチエイジングへの対 応は避けられない時代になっていますが、健康や若さを維持し生活の充実感を高められるように、脳・骨・ホルモン等の老化度の検査や鍼灸・漢方薬やサプリメ ント・特殊薬剤の個人輸入についてもアドバイスします。
今回の「先達の開業インタビュー」は、平成17年10月3日に泉北高速線泉ヶ丘駅前の高島屋をキーテナントとしている商業施設パンジョ内にオープンした医療モール「パンジョメディカルセンター」内でご開業されました「大槻レディ-スクリニック」大槻芳朗院長にお話をお聞きしました。
クリニックを感じさせないシンプルな診察室。患者様の不安などを軽減させています。
■一つのフロアに4つのクリニック(他に内科、眼科、歯科)がテナントとして入っている訳ですが、他の診療科の先生方との連携やセカンドオピニオンの実践など、クリニックモールの利点は多々あるのでしょうね。
自分の専門外の治療に関しては、気安くお願いできるのが、クリニックモールの大きなメリットですね。まだ開業して4ヶ月ちょっとですが、患者が増えてくると、他科との連携の機会はますます増えてくるでしょう。
またひとつの診療所が自己完結的に診療をするよりは、グループでやる方が地域の方々に認知してもらいやすいですし、人も集まりやすいと思います。色んな面でクリニックモールの相乗効果が実際に現れて来るのは、これからではないでしょうか。
■クリニックモールとしての利便性が、非常に重要になってきますね。
大病院であれば予約なしの場合は、何時間も待つケースが多いと思います。私達のようなクリニックであれば、待ち時間も少なくて済みますし、患者さん一人ひ とりに十分な時間をかけることが可能です。また待っている間にデパートやショッピングセンターで、買い物もできる。逆に買い物に来た方が、クリニックに気 軽に立ち寄れます。
こうした買い物客の流れを見据えて開業した訳ですが、今後はこれらの人たちへのPRや利便性を、もう少し考えていきたいと思います。特にお店が閉まる夜の 7時半以降は、急激に人通りが少なくなりますので、今は夜の7時半まで診療していますが、診療時間についてもさらに検討していきたいと思います。
■やはりクリニックモールらしく、女性の患者さんに心地よく、ゆったりとした環境空間を創られているように思います。
38坪のスペースですが白を基調にし、出来るだけ明るい雰囲気を出すようにしています。また私は園芸が趣味なので待合室に観葉植物を置き、旅行に行った時 に撮ってきた風景写真・植物写真や絵画等もインテリアとして使用しています。プライバシーや個人情報にも配慮して、全ての女性に温かい心のこもった医療を 目指したいと思います。
大槻 芳朗(おおつき よしろう)先生
ご経歴
昭和49年、大阪大学医学部卒業、医学博士。
昭和57年、中国・南京中医学院にて鍼灸を修学。
大阪大学医学部臨床助教授。大阪警察病院産婦人科部長・副院長を経て、平成17年10月大槻レディ-スクリニックを開業。
日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医。趣味・旅行(風景写真)、園芸、音楽鑑賞