皆さんこんにちは。今回は、「初・再診料」の算定についてお伝えします。
初診料や再診料は医師の見立て料ですから、患者さんを診察した際にはこのどちらかを必ず算定します。傷病名の数に関係なく、1回の診察につき1回の算定です。
ご存知の通り、患者さんが初めて受診された場合には初診料を算定し、2回目からの診察時には再診料を算定します。ですが、2回目以降の診察時でも初診料を算定することが可能な場合もあります。
ここでは、どのようなときに初診料を算定できるのか についてまとめてみます。
初診料が算定できるのは、患者さんが初めて受診されたときと、今までかかっていた傷病がすべて治癒(または中止)したそのあとに受診した1回目のときです。
複数の傷病名がついていた場合には、そのすべてが「治癒」または「中止」になり、医師が「今回のことでは一旦終わりでいいでしょう」と判断されたあとに、また患者さんの方から診てほしいとのことで受診された1回目は初診料が算定できます。ですので、暦月の1ヵ月のうちに2回以上算定できることもあります。この場合、傷病名が前回かかっていた傷病名と同じでも構いません。
考え方のポイントは、来院の約束がないのに、患者さんの方から診てほしいと思って来院した1回目が初診になります。
2回目以降の来院は、医師からの指示や約束があって来院されると思いますので、そのときは再診になります。たとえば具体的な日時を指定しての約束や、来週にもう1回、または薬が無くなってもまだ具合が良くないようだったら……、などのように少々アバウトな指示の場合もあると思いますが、患者さんにしたら、医師から言われたどれかに当てはまるので受診するのでしょうから再診になります。
ここに注意!
今までかかっていた傷病が1つでもあり、いまでも治療継続中の場合は、新たな傷病名が付いても初診料は算定できません。例えば高血圧症の患者さんが風邪をひいたので診てほしいと来院し、今日は風邪の診察だけでよいという場合でも再診料になります。特定疾患などの継続的な治療管理が必要な患者さんの場合は、何年もの間初診料は算定できないという場合もあります。
かぜの症状に対して抗アレルギー剤を処方したときに「アレルギー性鼻炎」と病名をつけ、かぜの治癒後、新しい症状に対して改めて初診料を算定したところ、再診料に減点されたという話をよく聞きます。これは「アレルギーはすぐに治る疾患ではないため、初診料は認められない」という見解のようです。同じアレルギー疾患に気管支喘息もあります。気管支喘息は特定疾患の対象病名でもありますが、症状が落ち着いている時期もあるため「一季節一疾患」として新たに初診料を算定することも認められているようです。つまり薬剤の服用や吸入薬の使用なども一切ない状態で一旦治療が途切れたときには、改めて初診として取り扱うことも可能になります。この期間はだいたい3ヶ月以上が目安と思われます。
ですから、同様にアレルギー性鼻炎と付けられたときには、全く治療をしていない期間として3ヶ月以上は間があいていないと初診としては認められない(減点される)可能性がありますのでご留意ください。
ここにも注意!
点数表など初診料の算定ルールには、患者さんが自分の都合で診療を中止し1ヵ月以上経過後に受診した場合も、新たに初診料の算定が可能であるとの記載がありますが、ここにも注意が必要です。最終来院日から1ヵ月経過したら新たに初診料を算定できるわけではありません。
【3つの主な注意点】
① 処方薬が出ている期間は治療中になりますので、処方した日数を過ぎた日から数えて1ヵ月以上経過後だったらと解釈します。
② あくまでも「患者さんの都合で」というルールなので、医師の方から「次回は6ヵ月後または1年後」のように指示をした場合は、間があいても初診料は算定できません。いま現在の症状があり、そこから半年後または1年後の経過観察になりますので、初診ではないということです。
③ 慢性疾患等明らかに同一の疾病または負傷であると推定される場合の診療は、初診として取り扱わない。
カルテの記載にも注意!
初診とは初めての診察ですが、初診料算定の原則に、「医学的に初診といわれる診療行為があった場合に初診料を算定する。」と記載されていますので、初めての診察時だから初診料が算定できるのではなく、初めての受診時には「医学的に初診といわれる診療行為を行う」ということで初診料が算定できるのです。ですから、カルテにも初診として必要な医療行為をしましたという記載が必要です。ご開業してから1年後ぐらいにあります「新規個別指導」のときには記載がないことは行っていないものと判断されて指導を受けてしまいますので、記録に残すようにしてください。
再診料の算定!
2回目以降の診察時など、初診ではないときの診察時には再診料を算定します。再診料は再診の都度算定できますので、同一日に一旦帰宅後、再度受診した場合にはもう一度再診料が算定できます。(同日再診)
ただし、医師があとで(後刻)もう一度来院するよう指示をしていた場合には1回目の再診料のみで、同日再診料は算定できません。
再診料には「電話再診」というものもあります。これは200床未満の医療機関に限られますが、医師が患者さんまたはその看護にあたっている者から電話等で治療上の意見を求められて必要な指示をした場合にも電話再診として再診料の算定ができます。医師以外のスタッフが医師に代わって対応した場合は算定できません。また電話初診はありませんのでご留意ください。
健診と同日の診察料!
特定健診と同日に行われた保険診療に対しては、診察料は(初診料も再診料も)算定できません。
これは保険診療のルールになっており、特定健診でも診察は行われていますので健診の中に含まれる扱いとなります。
健診と同日に保険診療をされた場合には、レセプト摘要欄の最初に「初診料(または再診料)は健診にて算定済み」とコメントを入れて、診療実日数は1日とカウントしてください。この場合、診察料以外の診療行為は算定できますが、検査項目を追加されるときには、採血料と判断料(血液学的検査判断料と生化学的検査(Ⅰ)判断料)は健診でも行われている行為(項目)と思われますので、「採血料は健診にて算定済み」などのコメントを入れて算定しないというのが正しい請求になります。
診察料について、保険診療上の算定ルールです。
- 当院で健診を行い、同日に保険診療も実施 → (診療内容に関係なく)初診料も再診料も算定できません
- 当院で健診を行い、健診の結果にて後日より保険診療を実施 → 再診料を算定し「初診料は健診にて算定済み」のコメントが必要
- 他院にて健診を行い、その結果当院にて治療開始 → 初診料を算定可
- 当院で健診を行い、後日健診とは関係ない疾患で受診 → 初診料を算定可
カルテは保険診療分と健診(自費分)をきちんと分けて記載することが大切です。