皆さんこんにちは。今回は生体検査を行ったときの、算定の基本中の基本と注意点について解説します。心電図検査と超音波検査の点数もあわせてご確認ください。
■検査料
生体検査は体を直接調べる検査になりますので、ほとんどが検査料のみの算定になります。算定できる点数は項目ごとに定められていますので、確認のうえ算定してください。ここでの注意点は、各区分の最初に「通則」というものがあります。このあとに書かれている項目のすべてに共通の規則です、という意味になりますので、それぞれの項目のところには改めて書かれていません。このような注意事項にも気をつけて算定をしてください。
■薬剤料
生体検査の際に薬剤を使用した場合には、15円を超えて2点以上になる場合に限り、60コードで検査の薬剤料として算定できます。
大腸の内視鏡検査を行う際に、検査前に服用する下剤を事前に投与(処方)した場合も、レセプトでは検査の部(コード番号60)の薬剤料として算定します。これは、検査のために使用した薬剤になりますので、調剤料や処方料または処方箋料の算定はできません。処方したときに、「内服」または「頓服」として入力されますと、これらが自動的に算定される場合もありますのでご留意ください。
■採取料
内視鏡の検査時などに病理検査へ出すために検体を採取した場合には、「診断穿刺・検体採取料」の項目より選択して算定します。胃カメラや大腸カメラ、婦人科のコルポスコピーなど、内視鏡検査時の検体採取料は、「D414 内視鏡下生検法(1臓器につき) 310点」で算定します。
■判断料
判断料は、呼吸器や脳波、筋電図検査など一部の検査に対してのみ算定可能と決められています。検体検査のときとは少し異なりますのでご留意ください。
■6歳未満に対する加算
生体検査には、新生児又は3歳未満の乳幼児に対して行った場合に、新生児加算又は乳幼児加算として、各区分に掲げる所定点数にそれぞれ所定点数の100分の100又は100分の70に相当する点数を加算することができます。
また、3歳以上6歳未満の幼児に対しては、下記項目を行った場合に幼児加算として、各区分に掲げる所定点数に所定点数の100分の40に相当する点数を加算できます。
●区分番号D200からD242までに掲げる検査(一部対象外あり)
●区分番号D306に掲げる食道ファイバースコピー
●区分番号D308に掲げる胃・十二指腸ファイバースコピー
●区分番号D310に掲げる小腸内視鏡検査
●区分番号D312に掲げる直腸ファイバースコピー
●区分番号D313に掲げる大腸内視鏡検査、テーテル法、肝臓カテーテル法、膵臓カテーテル法
■逓減算定
逓減算定とは、「同一月に、同一検査を2回以上行った場合、2回目以降の検査料は、所定点数の100分の90で算定する」というものです。心電図検査や超音波検査、内視鏡検査など一部の検査が逓減算定の対象になっています。暦月で1回目は所定点数を算定できますが、2回目以降は、「所定点数×0.9」で算定しなくてはなりません。
【算定例 : 心電図検査 1回130点 が所定点数の場合】
11月 1日 11月の1回目 130点
11月10日 11月の2回目 130×0.9=117点
11月20日 11月の3回目 130×0.9=117点
12月 1日 12月の1回目 130点
12月10日 12月の2回目 130×0.9=117点
注)2回目以降について所定点数の100分の90に相当する点数により算定することとされている場合において「所定点数」とは、当該項目に掲げられている点数及び当該注に掲げられている加算点数を合算した点数である。
■気をつけて
ここでいう「同一検査」とは、全く同じ検査という意味ではありません。心電図検査の場合は、D208心電図検査の「1」から「5」を同一の検査として扱います。超音波検査(エコー)の場合は、「断層撮影法」という同じ方法で検査を行ったのであれば、部位は異なっても同一検査になりますので、同日に複数の部位に行っても1箇所分の点数しか算定できませんし、同一月内で別の日に行った場合は、2回目以降の検査料を所定点数の100分の90で算定することになります。下記、点数(注は抜粋)のあとに表で説明していますので参考にしてください。
【D208 心電図検査】
1 四肢単極誘導及び胸部誘導を含む最低12誘導 130点
2 ベクトル心電図、体表ヒス束心電図 150点
3 携帯型発作時心電図記憶伝達装置使用心電図検査 150点
4 加算平均心電図による心室遅延電位測定 200点
5 その他(6誘導以上) 90点
■超音波検査(エコー検査)
【D215 超音波検査(記録に要する費用を含む)】
1 Aモード法 150点
2 断層撮影法(心臓超音波検査を除く)
イ 訪問診療時に行った場合 400点
注 訪問診療時に行った場合は、月1回に限り算定する。
ロ その他の場合
( 1 ) 胸腹部 530点
( 2 ) 下肢血管 450点
( 3 ) その他(頭頸部、四肢、体表、末梢血管等) 350点
※体表には肛門、甲状腺、乳腺、表在リンパ節等を含む
3 心臓超音波検査
イ 経胸壁心エコー法 880点
ロ Mモード法 500点
ハ 経食道心エコー法 1500点
ニ 胎児心エコー法 300点
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等
に届け出た保険医療機関において行われる場合に、月1回に限り算定する。
注2 当該検査に伴って診断を行った場合は、胎児心エコー法診断加算として、
1,000点を所定点数に加算する。
ホ 負荷心エコー法 2010点
4 ドプラ法(1日につき)
イ 胎児心音観察、抹消血管血行動態検査 20点
ロ 脳動脈血流速度連続測定 150点
ハ 脳動脈血流速度マッピング法 400点
5 血管内超音波法 4290点
注1 2又は3について、造影剤を使用した場合は、造影剤使用加算として、180点を所定点数 に加算する。
この場合において、造影剤注入手技料及び麻酔料(区分番号L008に掲げるマスク又は気管内挿管に
よる閉鎖循環式全身麻酔に係るものを除く)は、加算点数に含まれるものとする。
注2 2について、パルスドプラ法を行った場合は、パルスドプラ法加算として、150点を所定点数に加算
する。
原則、乳がんが疑われる患者に対するスクリーニング検査として、超音波検査の断層撮影法における
パルスドプラ法加算は認められません。
検査部位・撮影方法 | 同時に複数回検査を行った場合 | 同一月に複数回検査を行った場合 |
同一部位・別の撮影方法 | 主たる撮影方法により算定 | 2回目以降は90/100で算定 |
別の部位・同一撮影方法 | 主たる撮影方法により算定 | 2回目以降は90/100で算定 |
別の部位・別の撮影方法 | それぞれ別々に算定可能 | 逓減しない(2回目以降も100/100で 算定) |
腹部エコーと心エコーは「別の部位・別の撮影方法」になりますので、別々に算定できます
■レセプトへの記載
通知の(8)に、以下のことが記載されています。
「2」の「ロ」の「(1)」の胸腹部を算定する場合は、検査を行った領域について診療報酬明細書の摘要欄に該当項目を記載すること。複数領域の検査を行った場合は、その全てを記載すること。また、カに該当する場合は、具体的な臓器又は領域を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
ア 消化器領域
イ 腎・泌尿器領域
ウ 女性生殖器領域
エ 血管領域(大動脈・大静脈等)
オ 腹腔内・胸腔内の貯留物等
カ その他
2020年度診療報酬改定では、電子レセプト請求の場合に選択して入力するためのレセプト電算処理システム用コードが大幅に追加されました。2020年10月診療分(11月請求分)から選択して入力することが義務化されています。以下、超音波検査のコードになります。
項番 | 区分 |
診療行為名称等 |
記載事項 | レセプト電算処理システム用コード | 左記コードによるレセプト表示文言 |
267 | D215の2 |
超音波検査(記録に要する費用を含む) 2断層撮影法(心臓超音波検査を除く) |
検査を行った領域を記載すること | 820100681 | 超音波検査(断層撮影法)(胸腹部):ア 消化器領域 |
820100682 | 超音波検査(断層撮影法)(胸腹部):イ 腎・泌尿器領域 | ||||
820100683 | 超音波検査(断層撮影法)(胸腹部):ウ 女性生殖器領域 | ||||
820100684 | 超音波検査(断層撮影法)(胸腹部):エ 血管領域(大動脈・大静脈等) | ||||
820100685 | 超音波検査(断層撮影法)(胸腹部):オ 腹腔内・胸腔内の貯留物等 | ||||
820100686 |
|
||||
|
830100144 | 具体的な臓器又は領域;******** |
■まとめ
点数表を見たときに、項目ごとに点数は決められていますが、注意事項もしっかりと確認しなくてはならないので大変です。加算や減算をする際に計算をする順番を間違えると算定点数が変わってしまいます。現在は、電子カルテやレセコンで自動的に計算されると思いますので、点数は知っていらっしゃるかもしれませんが、このようなルールがあっての点数であることも知っておかれるとよりよいと思います。