そもそもパートにも有休があるのか?

石川 恵
石川 恵 社会保険労務士

院長のためのクリニック労務 Q&A

 

~年次有給休暇編2~

 

Q:そもそもパートにも有休があるのか?

A:あります。

 

 

パートスタッフも有休が付与される

 

    パートスタッフも常勤同様、雇い入れから6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した者に対し、有休が付与されます。なお、パートであっても週30時間以上、または週5日以上勤務する場合には、常勤同様の付与日数となります。週30時間未満で4日以下の勤務である場合には以下のとおり、労働日数に比例して付与されます。表1が常勤用の付与日数表で、表2がパートスタッフ用です。

    パートスタッフで、「週によって勤務日が変動する」「繁忙期に勤務日数が増え閑散期には減る」といった勤務形態の場合は、1年間の所定労働日数で付与日数を確認します。 

 

 

表1 常勤スタッフ用有休付与日数

継続勤務年数

0.5

1.5

2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

 

表2 パートスタッフ用有休付与日数(週所定時間が30時間未満の場合)

①週所定労働日数が4日または1年間の所定日数が169日から216日

継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数 7 8 9 10 12 13 15

②週所定労働日数が3日または1年間の所定日数が121日から168日

継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数 5 6 6 8 9 10 11

③週所定労働日数が2日または1年間の所定日数が73日から120日

継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
付与日数 3 4 4 5 6 6 7

④週所定労働日数が1日または1年間の所定日数が48日から72日

継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5以上
付与日数

1

2 2 2

3

出典 表1、2とも厚生労働省「有給休暇ハンドブック」より

 

 

「有休の申請は1か月前まで」などのルールを敷く

 クリニックの場合、前日に、「明日、有休を取りたい」といわれるとシフトの穴埋めができなくなります。そうならないように、「有休は1か月前までに申請すること」といったルールを敷いておきましょう。

 あえて有休にしなくても、1か月前までの申請であれば、シフト調整でその日を休みにすることはできます。しかし、単純な休みの場合はその人の労働日数が減るため給料も下がることになります。ここで確認しておきたいのは、「休みの希望」と「有休の申請」は別のものであるということです。スタッフの自己都合でその日を休みにしてほしいという申し出があった場合は、あらかじめその日を勤務日としなければよいだけですが、スタッフが、「〇日に有休をください」といってきた場合は、仮にあらかじめシフト上で休みにできても、その日は「有休」を与える必要があるということになります(ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は取得時期をずらすことができます)。

 

有休は「使用させないといけない」のではない

 最後に補足ですが、有休は本人から申請があったときに与えなければならないものです。事業主の責任においてすべての有休を消化させなければならないということではありません。

 

まとめ

1.パートスタッフも、雇い入れから6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した者に対し、労働日数に比例して有休が付与される。

2.代替要員の確保のためにも、「有休の申請は1か月前までに行うこと」などのルール設定が大切。

3.休みの希望と「有休の申請」は別のものであるため、パートスタッフが「有休」を申請してきた場合は、仮にシフト上で休みにできても、有休として与えなければならない。

 

書籍「院長のためのクリニック労務Q&A」(小社刊)より

 

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