皮膚科は私どもの開業支援経験のなかでも、比較的年齢の若い先生が多いのですが、原田先生も39歳でのご開業です。いつごろから開業を意識されていたのですか。
何がきっかけということもありませんが、開業自体は30歳位から普通に考えていて、専門医資格の認定を受けたことでモチベーションが高まりました。40代後半になると体力的にどうなんだろうということもあって、ぎりぎり30代での開業となりました。
クリニックとしての診療の考え方をお聞かせください。
開業にあたっての基本方針は「保険診療をしっかり」というもので、あくまでも皮膚疾患の診療ガイドラインに準じた、オーソドックスな治療に心がけています。私の勤務してきた基幹病院では、週3日程度しか外来を担当できず、患者さんへの細やかな対応に不十分なものを感じていました。その点、開業医の方が柔軟性がありますし、自分の判断と方法で治療を完結させることができます。私の性格的にもそちらの方が合っていると感じています。
同じ皮膚科専門医の奥様が副院長の立場で勤務されていて、ホームページでも強調されていますが、皮膚科クリニックに女性医師がいることの強みは何でしょうか。。
全然違うと思います。当院は一般皮膚科の他にアレルギー科と小児皮膚科に高い専門性を発揮します。それだけに、女性と子どもの患者さんの割合が多く、乳児湿疹などを心配されて来られるお母様方や、ご自身のデリケートな症状など同性医師に悩みを聞いて欲しいというニーズが高いと考えられます。ですから、私と副院長どちらを希望されるかを受付時に伺って担当を振り分けるようにしています。
待合室にキッズコーナーが設えてあったり、院長を模したようなキャラクターやカラフルなロゴもお子さん、女性を意識されたものですね。
キッズコーナーはその通りで、お子さんの受診環境に配慮したものです。ロゴタイプは、クリニックを印象づけ認識しやすいよう「読める」アルファベットをデザインしました。
私ども日本医業総研とは、先生からお問い合わせいただいた「医院経営塾」へのご参加がきっかけでした。勉強会に参加されてどんな印象を受けましたか。
医院経営塾は4講すべて参加しましたが、総じて分かりやすかったと思います。受講によってリアルな経営感覚がつかめたというわけではありません。それでも、一通り話に触れることが大事で、あとは実地で試行錯誤していくしかありません。経営の輪郭がつかめれば、あの種のセミナーは十分に価値があると思います。最初に受けた人事労務に関するセミナーの講師が山下さんでしたが、そこでの学びは院長に問われる人間力の研鑽の必要性でした。
その後、開業コンサルを担当いただいたのも山下さんで、立地選定では私が希望するエリアでの交渉がまとまらずもどかしい思いもしましたが、結果として山下さんに尽力いただき、JR長居駅至近で賃料も低く抑えられた優良物件を確保することができました。開業した今となっては正解だったと思っています。
昨年9月の開業初日の患者数が77人で、初月から黒字を達成されました。この好調な立ち上がりは告知の成功でしょうか。
開業告知は一般的なポスティングと折込みチラシ程度で特別なことはやっていませんが、やはり立地が大きいと思います。生活動線に面した建物の1Fで、開業の2カ月ほど前から開院告知看板を大きく掲示していましたので、住宅地から駅に向かわれる方の多くが目にされたのだろうと思います。
開業から約5カ月経った現在の患者数はいかがでしょうか。
1日90~100人前後で、25%程度が初再診です。ほとんどが保険診療なので算定できる診療単価にあまり期待できませんが、保険に徹することが逆に地域の信頼度につながっているのではないかと感じています。今後もこの方針は曲げずに貫こうと思います。
つまり、保険診療でまだ経営を伸ばせる余地があるということですね。
皮膚科の他、アレルギー科も標榜していますが、花粉症はこれから増えていきますし、子どものアレルギー検査などのニーズも十分に期待できると考えます。また、高齢患者さんの比率が低いことに課題が残されていますので、積極的に取り込んでいけば、経営はまだまだ伸ばせると思っています。
潤皮ふ科
院長 原田潤 先生
院長プロフィール
2005年 大阪大学医学部医学科 卒業
大阪大学医学部附属病院(初期研修)
大阪警察病院
大阪はびきの医療センター
関西労災病院
大阪急性期・総合医療センター
国立大阪医療センター
2019年 潤皮ふ科 開設