高い専門性、利便性高い立地、優秀なスタッフの採用で良好な立ち上がり

関谷充晃 先生

川口せきや呼吸器・内科クリニック
院長

埼玉県における呼吸器医療の需給バランス

呼吸器内科への興味は、研修医時代からのことですか。

私の場合、臨床研修の3年目にラウンドした関連病院には呼吸器内科専門の医師がおりませんでした。そのようななか、呼吸器疾患の患者さんが多く入院され、その対応に困ることがしばしばありました。呼吸器疾患の患者さんは多いのに、呼吸器を専門とする医師が少ないんだなと実感しました。患者さんに本当に必要とされている呼吸器診療を真剣に学ばねばと思いました。また当時の大学の医局におられた呼吸器内科の先輩医師たちが皆、臨床能力が高く、患者さんを真摯に診察する姿を見て、将来、このような医師になりたいとの思いを強くしました。そうして、最終的に呼吸器内科を専門にしようと決めました。

確かに気管支喘息やCOPDなど、呼吸器疾患の患者さんは私たちの身近にも多いですね。

そうですが、循環器内科や消化器内科など他の内科に比べて呼吸器専門の医師の絶対数が足りていません。特に埼玉県は関東の一都六県の中で、人口当たりの呼吸器内科医が最も少ないといわれています。

呼吸器内科医のやりがいや面白さはどこにあるのでしょうか。

病院とは違い、クリニックには風邪や気管支炎などに罹患した後に長く続く咳に悩まれる方が多く来院されます。長引く咳は鑑別診断が難しいのですが、それまでなかなかよくならなかった患者さんが当院を受診され、診断・治療することで「良くなった」とおっしゃっていただけることが一番の喜びです。

地域呼吸器医療の受け皿に

2007年に順天堂大学呼吸器内科の准教授に、2017年には埼玉県済生会川口総合病院呼吸器内科の主任部長に就任され、臨床とともに指導者としても活躍されていた関谷先生が、開業医へと向かわれたきっかけは何でしょうか。

大学に勤務していると会議など診療以外の業務が多く、もっと臨床に注力したいと常々思っており大学を辞することを決めました。2017年から済生会川口総合病院に7年間勤務し、思う存分に臨床に打ち込むことができました。一方で常に感じていたのが、先ほど申し上げた呼吸器内科医の少なさでした。川口の医療圏におられる多くの呼吸器疾患の患者さんも、どこの医療機関を受診すべきなのか困ってらっしゃるのではないか。また病院で急性期を脱した呼吸器患者さんを紹介できるクリニックも少なく、これまで取り組んできた医療を活かし、私が地域医療の受け皿になることを考えました。

今回、私ども日本医業総研は、2018年に開業された熱田了先生(秋葉原あつたアレルギー呼吸器内科クリニック、院長)からのご紹介でしたね。

熱田先生は医局の同期だったこともあって、もう長い付き合いです。医業総研の三木さんがコンサルを担当されたということで、熱田先生のクリニック内覧会の場で名刺交換をさせていただきました。今回の開業で熱田先生に相談したところ、三木さんは信頼できる方だと聞いてお願いしました。

他のコンサル会社とは比較されなかったのですか。

調剤薬局からも数件物件紹介をいただきましたが、どこも決め手に欠けました。とくに、薬局主導の医療モールだと、連携が逆にしがらみのように感じられ、これも一長一短だなと思いました。結局、過去の開業実績などトータルで考えて医業総研を選びました。

立地条件として、川口での開業にこだわりはありましたか。

前職が西川口で、大学以外ではもっとも長く勤務してきましたから、土地勘も愛着もありますし、呼吸器内科医に対する医療ニーズの高さも把握していました。実際開業してみると、患者さんからは、「この辺は呼吸器がなかったので本当に助かった」という言葉が本当に多く聞かれます。

それにしても、川口駅前という一番立地のビルに、よくクリニック向けのテナント物件が出ましたね。

そこは情報アンテナを張り巡らせていた三木さんのおかげです。前テナントが撤退してから私の開業タイミングまで相当な期間が空いてしまいましたが、その間に発生する家賃など仲介業者の粘り強い交渉もあって、オーナーから好条件をいただくことができました。いろいろな面で幸運が重なりました。

自院開業で関谷先生が実現したかった医療についてお聞かせください。

総合病院のクオリティと同等の医療をやりたいとは思っていて、医療機器も含め環境を整えました。他院との差別化や、病院外来を補完するだけのクリニックではなく、病院にかからなくてもここまでの医療が受けられるという水準を目指しました。もちろん、これまでに培ってきた呼吸器診療のスキルを活かし、丁寧な診察、わかりやすい説明を心掛けるなど、これまでと変わらない姿勢で診療しています。

確かに受け皿が病院だけですと、受診ハードルの高さも含め患者さんには負担になりますよね。

いまはどの病院でも紹介状や予約がないと受診できなくなっていきていますので、初診の患者さんが受診するには、かなり敷居が高くなっています。川口では呼吸器疾患の初診患者さんが簡単に受診し、しっかりと診療してもらえる医療機関が少ないのです。それまでの診療でよくならない方などを、しっかりと診療し、総合病院などを受診しないでも済むようにするのも当院のミッションと考えています。

クリニック名では、呼吸器のあとに内科も付されています。先生ご自身が総合内科の専門医でもあるわけですが、地域の内科医療全般の門戸を広げようという意図でしょうか。

この地域で不十分なのは呼吸器診療であることは分かっていたので前面に打ち出しましたが、患者さんの希望であれば生活習慣病も内科専門医としてしっかりと診ますよというスタンスです。ただ、蓋を開けてみれば、ほとんどの患者さんは呼吸器疾患での受診でした。

実際の患者さんの割合はどうなんでしょうか。

もう99%以上は呼吸器患者さんだと思います。一般的な生活習慣病で通院されている方は、数人です。

呼吸器疾患は小児から高齢者まで年齢層が広いと思われますが、当院のコア層はどのあたりでしょうか。

20代~40代が中心ですね。済生会川口総合病院に勤務していた際は70代、80代といったご高齢の方が多かったのですが、クリニックでは少数という印象です。平日の初診受付時間が17時半までなのですが、川口は都内への通勤者が非常に多くおられます。その分でしょうか、土曜日の診察はとても混み合います。

勤務医時代は相当数のがん治療に携わってこられたと思いますが、クリニックのホームページでは、がん検診は紹介しているものの、疾患としての「がん」にはあまり触れていませんね。

クリニックという性質を考えるとがんの診療に深くかかわるのは現実的に難しいですね。咳で受診される患者さんでも、当院の検査でがんが疑われる方は速やかに総合病院に紹介しています。がんで怖いのは診断・治療の遅れなので、早期に適切な医療を受けていただくことを大事にしています。

スタッフの高い接遇スキルが口コミ評価に

インターネットでクリニック名を検索すると、口コミ評価の高さが目を引きます。とくにスタッフの皆さんへの評判がとても好意的です。スタッフの採用では、どういう基準で選考されたのですか。

患者さんに最初に接するのは受付です。不調や不安を抱いて来院される患者さんに対する接遇の基本は、落ち着いた雰囲気と安心感を与えるコミュニケーションだと考えて人選しました。評判は私の耳にも入ってきますが、本当に良いスタッフに集まっていただけたと感謝しています。

スタッフとの日常のコミュニケーションはどのようにされていますか。

毎朝皆さんの体調確認のほか、スタッフからの業務上のフィードバックなども受けるようにしています。私から特に訓示などを述べることはなく、今日は初診の予約が多く入っているので、患者さんをお待たせしないよう、皆でカバーしながらやっていきましょうといった普段の行いの再確認といったことが中心です。

内覧会もなかなかの盛況だったようですね。

ありがたいことに150人以上の方にお越しいただけました。告知広告は、ポスティングとやや広域の新聞の折り込みチラシ程度なのですが、駅前の視認性の高さも効果的だったと思います。当日のお話をお聞きした限りでも、呼吸器内科への期待の高さが感じられました。

開業当初から、多くの患者さんが受診されていますが、その要因を、先生はどのように分析されていますか。

同一診療圏に競合となる呼吸器内科が少ないこと、さらに利便性に優れた立地、そして優秀なスタッフに恵まれたおかげだと思います。それにより患者さんのご家族やご友人を通じてクリニックの評判が広まっているのではないかと思います。どれかが抜きんでているというのではなく、3点がバランスよく噛み合わさって当院のイメージが形作られているのだと思います。

今回の開業サポートは、コンサルティング部の三木崇史が担当させていただきましたが、提供サービスについて忌憚のないご意見をお聞かせください。

それはもう、三木さんあってのクリニックです(笑)。実際、三木さんに、物件選定から交渉事、事業計画、資金調達まで何から何まで細やかにマネジメントしていただきました。そのおかげでスムーズに開業を迎えることができました。開業後にも何度も立ち寄っていただき、経営の状況について気にかけていただいています。

 

院長プロフィール

院長 関谷充晃先生
医学博士
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医

1992年 順天堂大学医学部 卒業 順天堂大学医学部附属順天堂病院 内科研修医
1995年 順天堂大学医学部呼吸器内科 入局
1997年 越谷市立病院 内科(呼吸器)出向
2001年 順天堂伊豆長岡病院(現、静岡病院)呼吸器内科 出向
2002年 医学博士の学位授与
2003年 McGill大学Meakins-Christie研究所 留学
2005年 順天堂大学医学部呼吸器内科 助手
2006年 順天堂大学医学部呼吸器内科 臨床講師
2007年 順天堂大学医学部呼吸器内科 准教授
2017年 埼玉県済生会川口総合病院呼吸器内科 主任部長
2024年 川口せきや呼吸器・内科クリニック 開設

Clinic Data

Consulting reportコンサルティング担当者より

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