野村先生が専門領域として循環器に進まれた理由からお聞かせください。
循環器は大学生時代から一番好きだった分野です。生命現象を心ポンプ機能などの物理学的な考えで理解し説明できるところが私に合っていたように思います。最初は手術にも興味があったので心臓・血管外科も検討しましたが、臨床研修で回ってみて当時の内科医局に活気が感じられました。
循環器医療の醍醐味やワーク・エンゲージメントはどういったところにありますか。
適切な治療を行うことで、医療介入する前後の症状が見るからに変わります。そういう治療結果がすぐに反映されるところが循環器の面白さだと思っています。
大学と関連病院で勤務されてきたなかで、開業志向は元々あったのでしょうか。
特に意識したことはありませんでしたが、関連病院から循環器内科の責任者のような立場で大学に戻り、大きなやりがいの反面、ほとんど毎日大学病院に泊まっているような激務が続きました。そうなると、そのしわ寄せは家族に向かってしまいます。お礼奉公の気持ちもあっての大学勤務でしたが、そろそろ自分自身のために頑張ってみてもいいかなと思い、佼成病院に出していただき、開業を意識した医療と人間関係を構築してきました。
以前に私どもで開業をサポートさせていただいた「いりたに内科クリニック(入谷栄一院長)」にも非常勤で勤務されていたのですね。
いりたに内科クリニックのシステムや雰囲気が好きで、当院開業でも大いに参考にさせていただきました。提供する医療サービスをどんどん発展させていく入谷先生の経営手腕は、一朝一夕で真似できるものではありませんが、できることから採り入れていきたいと思っています。
当社日本医業総研について、入谷先生はどのようなことをおっしゃられていましたか。
日本医業総研のコンサルの質に関しては間違いないという話をされていましたが、一番強調されていたのが、コンサル料は安くはないが、開業にかかわる業者との固着がなく、中立性・透明性がしっかり保たれているということです。実際に、私が望む医療機器などを複数の業者間で競争させることで、コンサル料以上のコストメリットが得られたと感じています。
実は他のコンサル会社にも開業の相談をしていました。佼成病院との関係性を大切にしたいという私の意向がありましたが調剤薬局ありきの物件紹介であるため、津々浦々の物件紹介となっておりました。このため開業したいエリアを絞った選定ができず、私にとって良い物件が見つからない状況でした。
弊社主催の「医院経営塾」にもご参加いただきましたが、お役に立てましたか。
他社主催の開業セミナーにも参加しましたが、一方通行の座学ではなく、参加医師が自ら手を動かして課題を解き、その間にコンサルタントが個別のアドバイスをして回ることが特徴的でした。時間も十分にとられていて、講義内容も充実していたと思います。クリニック経営には不勉強でしたが、開業に対する考え方を再確認するなど、経営のスタートラインとしては参加してよかったと思います。
中野新橋の当該物件をご覧になった第一印象はいかがでしたか。
チェーンの居酒屋が撤退したあとのスケルトン状態でしたので、内装のイメージは全然つかめませんでしたが、中野新橋駅から徒歩2分の立地で、診療圏調査でもいい数字が示され、勝機がうかがわれました。相談した義父からは建物の古さなどを指摘されましたが、最後は私の感覚を押しとおしました。
競合が不可避な内科領域にあって、何をクリニックの強みと考えますか。
総合内科専門医として内科疾患に対するゲートを広げる一方で、循環器内科に高い専門性を発揮するということ。それにくわえて、診療科として親和性の高い内分泌代謝科専門医の妻が非常勤で入ってくれていることで、患者さんのアクセシビリティはさらに増すと思われます。実際、二次性高血圧などでも他の医療機関へ紹介を出すことなく、当院内で完結することができます。
地域患者さんにとって、不調の際の最初のアクセス先として、どういった医療提供に心がけようとお考えですか。
当院でも広域な内科診療が可能ですが、的確な診断の下で手に余るような場合は速やかに適切な専門医療につなげるということですね。そのための地域連携も構築していきたいと思っています。また、症状は軽いが不安が強い方、病院への通院の付き添いが大変な方もいらっしゃいます。そういった方々のもっとも身近な受け皿として寄り添い、ご家族の生活背景などもよく理解したうえで治療を施すのがプライマリケアのあり方だと思っています。
高齢者医療についてはどのようにお考えですか。
高齢患者さんの場合、ガイドライン一辺倒の医療を選択すると逆に予後が悪くなることがあります。たとえば、90歳の方に手術を勧めたり、効果は期待できても強い副作用が懸念される薬を処方することなどは個別の状態に応じての判断が必要です。ですから、基本的に高齢者医療はオーダーメイドであるべきだと考えます。
先生の実現したい医療について、スタッフに期待することは何でしょうか。
日常の定型的な業務に高度な知識や技術は求めません。ただ、治療の足掛かりとして当院に来院される患者さんには、症状以上の不安を抱える方が多くおられます。スタッフには、その気持ちを受け止めてあげて、ここに来て良かったと不安を安心に変えてお帰りいただくような行動に心掛けて欲しいと思いますし、患者さんに喜んでいただいたスタッフの行動は、私自身が認め称賛するようにしています。
開業後に最初にクリアすべき経営課題は、損益分岐点の売上を超え、安定的な黒字経営を達成することですが、担当コンサルタントの三木が作成した事業計画書をご覧になり、どのような印象を受けましたか。
専門領域は循環器内科なので、診療単価をやや高めに設定しましたが、損益分岐する1日あたりの患者数は26~27人だったかと思います。恐らくいけるだろうというのが第一印象でした。取引銀行が独自に行った診療圏調査でも、日本医業総研とほぼ同じ数字が出てきていましたので、地域患者さんへの丁寧なアプローチに心がけた診療に努めれば間違いはないだろうと思っていました。
年齢や疾患など来院患者さんの層は想定したとおりでしたか。
コアの年齢は予測よりもずっと若いですね。検診などでようやく高齢者も来院されるようになってきましたが、それまでは1割にも満たないのではないかと思えるくらいに少なかった印象です。比較的若い夜間人口の多い中野新橋という場所柄なんでしょうね。
今回の日本医業総研の開業支援について、忌憚のない評価をお聞かせください。
結論からいえば最高のサポートをしていただいたと思います。担当の三木さんの人柄もあるのでしょうが、まず私の意見を辛抱強く聞いて、受け止めてくれました。それが間違った考えだったとしても無下に否定はせず、私だったらこう思う、こうしたらもっと良くなるという前向きな意見を返してくれます。とにかく相談しやすく、準備が進めやすかったという印象です。日本医業総研の場合、このエリアで開業したいという意思が固まったら、ベストな物件が出てくるまで待つというスタンスです。先ほども申し上げましたが他のコンサル会社は、数撃ちゃ当たるのごとく、多様なエリアの物件を紹介していただけるのですが、そこに勝てるエリアで開業するという考えではないように感じられました。日本医業総研とのもっとも大きな違いです。
中野新橋内科クリニック
院長 野村 新 先生(内科、循環器内科担当)
野村 瞳 先生(内科、内分泌内科、糖尿病内科担当)
院長プロフィール
日本循環器学会 循環器専門医
日本内科学会 総合内科専門医
日本内科学会 認定内科医
日本禁煙学会 禁煙認定指導医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医
2007年 愛媛大学医学部医学科 卒業
東京女子医科大学病院 研修医
2009年 東京女子医科大学病院 循環器内科入局
2011年 聖隷浜松病院 循環器内科
2013年 埼玉県済生会栗橋病院 循環器科 医長
2015年 東京女子医科大学病院 循環器内科
2017年 東京女子医科大学病院 循環器内科 助教
2018年 佼成病院 循環器内科
2021年 中野新橋内科クリニック 開設
野村 瞳 先生プロフィール
日本内科学会 認定内科医
日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
2006年 東京女子医科大学医学部医学科 卒業
東京女子医科大学病院 研修医
2008年 東京女子医科大学 内分泌内科入局
2011年 聖隷浜松病院 内分泌内科
2013年 埼玉県済生会栗橋病院 内科
2016年 関東中央病院 糖尿病・内分泌内科 医長
2018年 浜町公園クリニック・医療法人社団凛咲会さくらクリニック
2021年 中野新橋内科クリニック